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【論点QA】決算日後に株式分割を行った場合、期首に株式分割が行われたと仮定して1株あたり情報を開示すべきか?

問題提起

  • 決算日後に株式分割を行った場合、期首に株式分割が行われたと仮定して1株あたり情報を開示すべきか?
  • 計算書類の会計監査人監査報告書日以後、有価証券報告書提出日までの間に株式分割を行った場合、どのような取り扱いを行うべきか?

結論

  • 決算日後に株式分割を行った場合も、期首に株式分割が行われたと仮定して1株あたり情報を開示する。
  • 開示後発事象における同様の取り扱いをすることになるが、有価証券報告書には期首に株式分割が行われたと仮定して1株あたり情報を開示する。

※本稿は実務上頻度が高いと思われる「株式分割」について取り扱うが、株式併合においても取り扱いは同様と考える。

結論の背景

1株当たり情報の取扱い

本事例の取り扱いは、会計基準に定めがあります。

当期に株式併合又は株式分割(中略)が行われた場合、1株当たり当期純利益の算定上、普通株式の期中平均株式数は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定する。また、当期の貸借対照表日後に株式併合又は株式分割が行われた場合も、同様に仮定して算定する。1

当期に株式併合又は株式分割が行われた場合、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、第21項にいう普通株式増加数は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定する。また、当期の貸借対照表日後に株式併合又は株式分割が行われた場合も、同様に仮定して算定する。2

上記の通り、決算日後(貸借対照表日後)に株式分割を行った場合、期首に株式分割が行われたと仮定して計算することとなります。

なお、本基準が適用されないもの、例えば決算日時点の発行済株式総数や大株主の状況等については、株式分割前の株数を記載することが適当と考えられます。枠外にて株式分割前の情報を開示している旨を注釈することも考えられるでしょう。また、本基準が適用されなくても株式分割を行った後の情報を記載する箇所、例えば提出日現在の発行済株式総数では株式分割後の株数を記載することが適当と考えられます。

後発事象の取扱い

次に後発事象について検討したいと思います。決算日後に行われた株式分割は、開示後発事象に当たることが会計基準において明記されています(1株当たり基準59-3項なお書)。したがって、開示後発事象としての注記も必要となります。以下、状況別にまとめてみました。

会社法開示書類の取扱い3

会計監査人の監査報告書日以後、監査役の監査報告書日までの場合

  • 会社法の監査役の監査報告書において、株式分割が行われた事実を追加して記載する。

監査役の監査報告書日以後、有価証券報告書提出日までの場合

  • 開示が事実上不可能であるが、株主総会において取締役から報告することが考えられる

有価証券報告書の取扱い3

会計監査人の監査報告書日以後、有価証券報告書の監査報告書日まで

  • 1株当たり基準に従った処理を行う。

有価証券報告書の監査報告書日以後、有価証券報告書の提出日まで

  • 当該後発事象を反映させた財務諸表を新たに作成し、かつ、当該財務諸表を有価証券報告書で開示する場合
    • 監査法人による後発事象に関する監査手続が実施される。したがって、当該財務諸表に対して新たな監査報告書を受領する。
  • 経営者が、当該後発事象について、「経理の状況」における「連結財務諸表等」又は「財務諸表等」の「その他」に記載する場合
    • 後発事象取扱いには特段明示はないが、当該区分は会計監査人の監査対象外であるため新たな監査報告書を受領する必要はないものと考えられる。4

いずれにせよ期末付近に株式分割の検討を行う場合には、開示書類への影響も考えて日取りを決定する必要がありますね。


  1. 企業会計基準第2号1株当たり当期純利益に関する会計基準(以下「1株当たり基準」)30-2項 ↩︎

  2. 1株当たり基準30-3項 ↩︎

  3. 監査基準報告書560実務指針第1号「後発事象に関する監査上の取扱い」19頁 付表1を参考に作成した。 ↩︎ ↩︎

  4. ただし、1株あたり基準は「貸借対照表日後……に行われた場合」としか規定していないため、こちらの取扱いによることは事実上困難であると考えられる。 ↩︎